日本酒はその特徴に合う料理と合わせて楽しむことで、お互いの良さがさらに引き立ちます。
この記事では、日本酒の特徴をふまえて料理を選ぶことができるよう、日本酒と料理の相性について解説します。
- 白鶴酒造オンライン編集部
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日本酒に合う料理とは?日本酒の特徴別に解説
日本酒は特徴によって、合う料理がさまざまです。
特徴に合わせて料理を選ぶことで、日本酒と料理、それぞれの良さが増幅されます。
日本酒は味わいや香りの特徴により、大きく「爽酒(そうしゅ)」「薫酒(くんしゅ)」「醇酒(じゅんしゅ)」「熟酒(じゅくしゅ)」の4タイプに分けることができます。
まずは、それぞれのタイプの特徴と相性の良い料理について解説します。
爽酒(そうしゅ)に合う料理
爽酒は、普通酒や本醸造酒、生酒などに多く、すっきりとした爽やかさや清涼感が特徴です。
癖がなく、香りはおだやかで、味も軽快です。
近年人気の日本酒スパークリングにも爽酒に分類されるものが多くあります。
主張が控えめな爽酒は、合う料理の幅が広く、さまざまな料理と一緒に楽しむことができます。
中でも、軽めのおつまみやあっさりとした味付けの料理とは特によく合います。
薫酒(くんしゅ)に合う料理
薫酒は、華やかでフルーティーな香りが特徴です。
豊かな香りを持ちながらも、軽快でなめらかな飲み口であるため、軽く冷やして飲むのがおすすめです。
精米歩合の高い大吟醸酒や吟醸酒などに多く、高級なものも多くみられます。
香り高い薫酒の良さを引き立ててくれるあっさり系のおつまみや、繊細な香りを楽しむ料理と相性が良く、刺身や魚介系の料理、野菜などとよく合います。
醇酒(じゅんしゅ)に合う料理
醇酒は、純米酒や生酛(きもと)系日本酒などに多く、米由来のふくよかな香りと濃厚な味わいが特徴です。
米の旨味やコクがしっかりと感じられ、醇酒の中には特徴的な味わいのものもあります。
醇酒は比較的幅広い料理と合いますが、特に味や風味のしっかりとした料理と相性が良く、食中酒に適しています。
煮物やがっつり系の料理のほか、チーズも醇酒と相性の良い食材の一つです。
熟酒(じゅくしゅ)に合う料理
熟酒は、その名の通り熟成酒や古酒などの日本酒に多く、コク深い芳醇な味わいがあります。
香りも豊かで、熟成された複雑な風味が特徴です。
個性的で独特な味わいのものも多く、常温で飲むことでその複雑さをより楽しむことができるでしょう。
熟酒は、味の濃い料理や脂質の多いこってりした料理と相性がいいので、揚げ物や濃い味の煮付け、中華料理などと合わせるのがおすすめです。
日本酒と料理の「相性理論」とは?
日本酒と料理の相性は奥が深く、様々な要素が絡み合っています。
白鶴酒造では、日本酒の「甘辛」「濃淡」「香り」などの特性と、料理の「甘味」「塩辛味」「酸味」「旨味」「苦み」などの基本味を掛け合わせたときの、相性や相互作用について研究がなされています。
研究の成果として、「日本酒と料理の相性理論」という考え方が生まれました。
日本酒に合う料理について考える上で柱となる、相性理論の3つの基本型をご紹介します。
バランス
基本型の一つ目は「バランス」です。
日本酒と料理の味の強さを合わせることが両方を美味しく楽しむことにつながります。
例えば、濃い味つけの料理には濃醇なお酒を、薄味の料理には淡麗なお酒を合わせるのがバランスがとれていると言えます。
日本酒と料理のバランスがとれないと、一方の味だけが突出したり、打ち消されたりします。
ハーモニー
基本型の二つ目は「ハーモニー」です。
ハーモニーとは、日本酒と料理がお互いに作用しあって、単品では得られない調和した味わいを生み出すことです。
意外な味の組み合わせが調和して、良さを引き立てあうこともあります。
例えば、酢を使った酸味が強い料理に甘口の日本酒をあわせると、非常に調和がとれます。
ウォッシュ
基本型の三つ目「ウォッシュ」は、料理の後味や嫌味を日本酒で洗い流す効果のことです。
この効果によって口の中がリフレッシュされ、料理をさらに美味しく食べることができます。
例えば、脂っこい料理を食べたときには淡麗なお酒で後味を洗い流すと、口の中をリフレッシュしながらも余韻が残り、次の料理への橋渡しの効果もあります。
日本酒に合う定番のおつまみ
ここからは、より具体的に日本酒に合うおつまみをご紹介していきます。
まずは、多くの人に馴染み深い定番のおつまみについて、相性の良い日本酒の特徴も交えてご紹介します。
刺身
刺身はあっさりしていてお酒の味を邪魔しないので、日本酒の肴に最適です。
特に、香り高い薫酒と合わせると日本酒の香りを引き立ててくれます。
相性理論の観点では、醤油の塩味には辛口の日本酒がよく合います。
また、淡白な魚やワサビには淡麗タイプの日本酒が好相性です。
冷や奴
冷や奴はさっぱりとした酒の肴の代表で、同じく癖の少ない爽酒との相性は抜群です。
さらに、お酒の風味を損なわない豆腐は、香りを楽しむ薫酒と合わせても良さが引き立ちます。
生姜、ミョウガ、大葉など、冷や奴の薬味を工夫して、さらに香りのマリアージュを楽しむのも良いでしょう。
相性理論の観点からも、香りが控えめな豆腐は吟醸タイプの日本酒と合わせると調和がとれます。
塩辛
塩辛も日本酒に合う定番おつまみの代表格です。
熟酒と合わせると熟成されたもの同士なので奥深い味わいを楽しむことができ、個性的な日本酒にも合います。
相性理論で言えば、旨味の強い塩辛は濃醇タイプの日本酒と合わせるとバランスが良く、塩辛の塩味には辛口タイプの日本酒の味が調和します。
自宅でも簡単!日本酒に合う料理
日本酒に合う料理は、自宅で作ることもできます。
中でも簡単に手早く作ることができる料理を日本酒との相性とともに紹介しますので、お気に入りの日本酒の特徴に合わせて、おつまみを作ってみてはいかがでしょうか。
アスパラベーコンの温玉のせ
まずは、簡単にできる温サラダをご紹介します。
塩とオリーブオイルをふって焼いたアスパラとベーコンに、マヨネーズをかけ、温泉卵をのせれば完成です。
最後に黒胡椒をかけるとさらに美味しくなります。
マヨネーズや温泉卵が濃厚なソースとなるので、醇酒と合わせるのがおすすめです。
カルパッチョ
洋風のイメージがあるカルパッチョですが、実は日本酒にもよく合います。
作り方も簡単で、好きな魚介を薄切りにし、オリーブオイルと胡椒や粉チーズ、レモン汁などの調味料をお好みでかけるだけで出来上がります。
野菜と一緒に盛り付け、サラダのようにアレンジしても美味しく食べることができます。
風味が良くあっさりしているカルパッチョは、華やかな香りの薫酒とベストマッチします。
また、相性理論を用いると、カルパッチョは酸味がありさっぱりしているので、甘口の淡麗タイプの日本酒に合わせることでお互いの良さが引き立ちます。
ドライフルーツのせチーズ
お酒に合わせるのが難しいと言われるチーズですが、意外にも日本酒と合わせると違和感なく楽しむことができます。
加えて、日本酒の中には、甘いデザート系の食材やフルーツと相性の良いものも多くあります。
好きなチーズとドライフルーツを組み合わせるだけで、日本酒によく合うおつまみが簡単に完成します。
黒胡椒などのスパイスや蜂蜜をかけても味のアクセントになります。
ドライフルーツのせチーズに爽酒や日本酒スパークリングを合わせれば爽やかでおしゃれなデザートとして楽しむことができるでしょう。
また、熟成系のチーズは醇酒や熟酒とも好相性です。
日本酒に合うがっつり系の料理
日本酒はメインディッシュと一緒に飲む食中酒としても適しています。
日本酒をお供にがっつりとした食事を楽しみたい人のために、日本酒に合うメインディッシュをご紹介します。
ステーキ
肉が好きな人には、ステーキと日本酒を合わせるのがおすすめです。
肉の旨味がダイレクトに感じられるステーキは、醇酒と合わせると特にバランスが良いと考えられます。
ステーキは調味料によって味を変えることができるので、味によって合う日本酒を探してみても楽しいでしょう。
また、淡麗タイプの日本酒と合わせればウォッシュの効果が期待でき、肉の脂っこさを程よく洗い流してくれるので、飽きずに食事を楽しむことができます。
パスタ
ワインと合わせるイメージの強いパスタですが、日本酒に合う料理の一つでもあります。
しっかりした味付けのパスタは醇酒によく合います。
また、スパークリングワインとパスタを一緒に楽しむように、日本酒スパークリングと合わせるのもおすすめの組み合わせです。
豚の角煮
しっかり煮込んで豚肉に味を染み込ませた角煮は、日本酒に合わないはずがありません。
豚の角煮は、幅広いメインディッシュと合う醇酒の他に、少々個性的な熟酒と合わせてみるのも良いでしょう。
相性理論の観点では、味の濃い角煮には濃醇タイプの日本酒を合わせるとバランスが良く、熟成タイプの日本酒を合わせれば特有の香りと角煮の脂っこさによってハーモニーが楽しめます。
日本酒に合う和食以外の料理
先に挙げた料理にもあるように、日本酒に合う料理は和食だけではありません。
様々な種類の料理と合わせて楽しむことができます。
ここからは、和食以外の日本酒に合う料理をご紹介します。
イタリアン
チーズやパスタと日本酒の相性については先述しましたが、イタリアンは日本酒と大変よく合います。
軽めの前菜には爽酒や薫酒を、メインディッシュには醇酒を合わせるなどすれば、それぞれの料理と日本酒、両方の良さを存分に感じられるでしょう。
日本酒の中には、白ワインのようなフルーティーな香りや味わいのものもあり、イタリアンに合わせるにはもってこいです。
それらの日本酒はトマトやバルサミコ酢の味にマッチし、さらにチーズや香草とも相性が良いので、イタリアンの味付けと合うこと間違いなしです。
中華料理
こってりしていて強めの味付けのものが多い中華料理は、醇酒や熟酒と相性の良い料理です。
濃いめの味付けの料理は濃醇タイプの日本酒と合わせるとバランスが良く、その中でも塩味の強い料理には辛口の日本酒がよく合います。
また、淡麗タイプの日本酒はウォッシュの効果で中華料理の脂っこさを洗い流してくれるという良さがあります。
エスニック料理
意外なことに、エスニック料理も日本酒と一緒に楽しむことができます。
暑い地域の料理であり、香草やスパイスなどが多く使われる香り豊かなエスニック料理は、喉ごしがよくさっぱりした味わいの爽酒や、お互いの香りを引き立て合う薫酒と合います。
また、酸味の強い料理は甘口の日本酒と合わせることで調和しハーモニーの効果が生まれます。
日本酒とエスニックという意外な組み合わせによって生まれるハーモニーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
日本酒の特徴に合う料理を選んで楽しもう
日本酒は多種多様な料理との組み合わせを楽しむことができ、合わせる料理によって様々な表情を見せてくれます。
言い換えれば、相性の良い食べ物と合わせることが、日本酒と食事を最大限に楽しむためのコツだと言えます。
日本酒の特徴をふまえておつまみや料理を選べば、それぞれの良さを堪能することができるでしょう。
白鶴オンラインショップでは様々な特徴の日本酒を販売しています。
味わいや醸造方法など、特徴別に日本酒を探すこともできるので、料理と合わせたときのマリアージュをイメージしながら日本酒を選んでみてください。