「酒粕」の正体とは? 人気レシピや活用方法を解説

レシピの中に登場したり、スーパーなどでも見かけることのある「酒粕」。

聞いたことや見たことはあるけど一体何なのか、どのように使うのかいまいち分からない人も多いでしょう。

本記事では、酒粕の正体や摂取するメリット、酒粕を用いたおすすめレシピをご紹介します。

 

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「酒粕 」の正体とは?レシピの中に登場する場合も

酒粕

「酒粕」という文字を、レシピの中で目にしたことのある人も多いでしょう。

スーパーなどの食料品店でも目にしますが、酒粕の正体は何かご存知でしょうか?

酒粕とは、日本酒を造る工程で「もろみ」を上槽(圧力をかけてお酒を搾ること)した後に残る、白い固形物のことです。

「もろみ」とは米と米麹、水を酵母によって発酵させたものであり、米や米麹がドロドロに溶けた状態となっているので、日本酒とそれ以外の溶け残った成分を分ける必要があります。

この溶け残った成分をぎゅっと凝縮したものが酒粕であり、日本酒を造る過程で生成された栄養素を豊富に含んでいます。

酒粕にはいくつか種類があり、きれいに板状に形成されたものは「板粕」、ペースト状のものを「練り粕」、お酒を搾る際に機械からこぼれ出たものを「バラ粕」と呼びます。

酒粕は栄養価が高く美容にもよいとされ、古くからさまざまな料理にアレンジされて親しまれています。

ここでは酒粕の栄養や効果について解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

酒粕は栄養価が高く、美容にもおすすめ

酒粕と美容

酒粕は、その名のとおりお酒の搾りカスであることから端材のようなイメージが付きがちですが、実は「日本のスーパーフード」と呼ばれるほど栄養が豊富な食材です。

ビタミン・アミノ酸・食物繊維・ペプチド・ミネラルなどを含む酒粕は、人間が生きていくうえで必要な5大栄養素をすべて含んでいるといわれており、血圧降下作用や体脂肪率低下作用があることも報告されています。

また、酒粕は美容効果も期待できる食品です。

日本酒や酒粕に含まれるビタミンB群には、お肌のコンディションを整える作用があり、昔からよく「酒屋さんの手は白くてきれい」といわれています。

最近は「酒粕パック」などの酒粕を使用したスキンケア用品も販売され、注目を集めています。

お酒の香りを楽しめる酒粕は、江戸時代には「手で握れるお酒」といった由来から「握り酒」と呼んでそのまま食べたり、「酒骨(さけぼね)」という名前で居酒屋や酒屋で振る舞われ、古くから親しまれてきました。

また、栄養面や美容面のほかにも、アミノ酸の作用によってお料理に入れると旨みが増すというメリットもあります。

 

酒粕はどれくらい摂取していい?一日あたりの適量とは

酒粕

酒粕にはビタミンやアミノ酸などの栄養素以外に、SAM(S-アデノシルメチオニン)や葉酸、GPC(グリセロホスホコリン)といった機能性成分も豊富に含まれています。

美容や健康を目的に摂取するのであれば、1日50~100g程度がおすすめです。

通常の食事では摂取しきれない成分を適度に補うことができます。

また、酒粕は8%ほどのアルコール分を含んでいます。

酒粕をそのまま食べることは、お酒を飲んでいるのと同じこと。妊娠中の人や運転前は摂取を控えましょう。

料理に酒粕を使う際はしっかりと加熱すればだいたいのアルコール分は飛びますが、お酒に弱い体質の人は摂取量に注意してください。

 

酒粕を使った定番レシピ

酒粕を使った定番のレシピをご紹介します。

家庭で簡単に作れて、酒粕そのものの香りや味を楽しめるメニューばかりなので、参考にしてみてください。

 

酒粕の風味をしっかり楽しめる「甘酒」

酒粕を使った甘酒

材料(カップ1杯分)
お湯 200ml
酒粕 50g程度
砂糖 お好みの量

 

酒粕を用いた定番レシピといえば、甘酒です。お湯に酒粕を溶かすだけで簡単に作れます。

鍋を火にかけてお湯を沸かしたらこまかくちぎった酒粕と砂糖を入れ、しっかりと沸騰させてアルコール分を飛ばしましょう。

最後にお好みで生姜やはちみつ・塩などで味を整えます。

より手軽に作りたい場合は、電子レンジで代用も可能です。

甘酒はシンプルな味付けのため、ほんのりとお酒の香りを楽しめるのが魅力。

大吟醸酒の酒粕を使えばより華やかな風味を楽しめます。

また、できあがった甘酒を豆乳で割って「甘酒豆乳ラテ」にしたり、梅酒などの果実酒と合わせて甘酒カクテルにアレンジするのもおすすめです。

その日の気分に合わせて組み合わせを変えれば、毎日飲んでも飽きることなく甘酒を楽しめます。

 

日本有数の酒処・兵庫の郷土料理「粕汁」

酒粕を使った兵庫の郷土料理「粕汁」

粕汁は兵庫県の郷土料理。お正月が終わった1月20日の「二十日正月」に祝い納めとして食べる風習があり、家庭で食べるほかに学校給食のメニューとしても親しまれています。

冷えた身体を芯から温めてくれる粕汁は、寒い季節にぴったり。酒粕を使った定番料理のひとつです。

ここでは、白鶴の社員食堂で人気の粕汁レシピをご紹介します。 

 

材料(4人分)
油揚げ    1枚
大根     5~6㎝
にんじん   1/2本
板こんにゃく 1/2枚
出汁     800ml
酒粕     40g
白みそ    40g
塩      少々
青ネギ    適量

 

まずは出汁をとり、大根・にんじん・こんにゃく・油抜きした油揚げなどの切った具材を煮込みます。

次に酒粕をこまかくちぎり、出汁を少量加えてペースト状に溶かします。

具材を煮込んだ鍋にペースト状の酒粕を加え、味噌と塩で味付けをします。

お好みで青ネギを散らせば完成です。

鮭や鰤などの魚や、豚肉を入れるとコクが出てより美味しく召し上がれます。

 

酒粕を使った簡単おかずレシピ

酒粕そのものの風味を味わうレシピのほかに、調味料として使うのもおすすめです。

ここでは、酒粕を使った簡単おかずレシピをご紹介します。

料理の時短にもつながるので、手軽に美味しい料理を作りたい人はぜひ参考にしてみてください。

 

酒粕で旨みが増す「魚の粕漬け」

酒粕を使った魚の粕漬け

材料(2人分)
魚の切り身 2切れ
大根おろし お好みで

※合わせ調味料の材料
酒粕    50g
酒     大さじ1
みりん   大さじ1
塩     小さじ1/5

 

魚の切り身を酒粕に漬けておくだけの簡単おかず。

酒粕に含まれるアスパラギン酸やグルタミン酸の働きによって旨みが増し、魚の臭みを和らげます。

酒粕を混ぜた合わせ調味料を魚の切り身にまんべんなく塗り、ラップやビニールで包んで1〜2日ほど漬けてください。

切り身から調味料をぬぐい、グリルやトースターで焼くだけで完成です。

手間もかからず魚をより美味しく食べられるので、忙しい人でも気軽にチャレンジできます。

 

酒粕で身体が温まる「治部煮」

酒粕を使った石川県金沢の郷土料理「治部煮」

治部煮(じぶに)は石川県・金沢の郷土料理。

江戸時代から食べられていたとされる武家料理で、発祥は諸説あります。

現在は家庭でもおもてなし料理として特別な日に食べられることが多く、郷土料理を提供する料亭のメニューとしても親しまれています。

ここでは治部煮を酒粕でアレンジしたレシピをご紹介します。

 

材料(2人分)
鶏もも肉  1枚
塩     少々
酒     少々
にんじん  1/4本
生しいたけ 2枚
出汁    200ml
酒粕    20g
醤油    大さじ1
小松菜   1/4束
片栗粉   大さじ1
わさび   お好みの量

 

まず、小松菜はさっと茹でて水気を切り、4cmほどの長さに切り分けておきましょう。

鶏もも肉はひと口大に切り、塩と酒を揉み込みます。しいたけは軸をとり、にんじんは5mmほどの幅に切ってください。

鍋で出汁を煮立てたら、小松菜以外の野菜を加えて煮込みます。

出汁を少々取って酒粕を溶き、醬油と一緒に鍋に加えたら、鶏肉に片栗粉をはたきながら鍋に入れます。

鶏肉に火が通ったら、小松菜も加えてさらにひと煮立ち。

器に盛り付け、お好みでわさびを添えて完成です。

 

和風でクリーミーな味わい「酒粕グラタン」

酒粕グラタン

酒粕ホワイトソース材料(1人分)
酒粕     50g
牛乳     3/4カップ
味噌     18g
塩・こしょう 適量

 

酒粕で作ったホワイトソースを使えば、いつものグラタンが和風な味わいに変化します。

作り方はとても簡単。酒粕をちぎってほぐし鍋に入れ、ほかの調味料と合わせて弱火にかけます。

とろみが出ればホワイトソースの完成です。

チーズと合わせればよりコクがあってまろやかな味わいに仕上がります。

お肉やお魚・きのこなど、お好みの食材と合わせて楽しんでみてください。

 

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酒粕で作るおつまみレシピ

徳利の日本酒をお猪口に注ぐ

日本酒を作る過程で生まれる酒粕は、お酒と合わないわけがありません。

ひと手間加えることで、日本酒にも洋酒にも合うおつまみにアレンジできます。

おすすめのレシピをご紹介するので、いつもと少し違ったおつまみを楽しみたい人はぜひ参考にしてみてください。

 

酒粕を焼いておつまみにアレンジ

オリーブとオリーブオイル

材料
酒粕(板粕がおすすめ) お好みの量
オリーブオイル     適量
粉チーズ        お好みの量

 

酒粕を焼いて食べる際は、板粕を使うのがおすすめです。

お好みの大きさにカットしてオリーブオイルを塗り、粉チーズをかけてオーブントースターやグリルで焼き色が付くまで焼きましょう。

芳ばしい香りが漂い、スナックのような感覚で食べられるおつまみができ上がります。

また、酒粕をそのまま焼いて砂糖をかけるとおやつ感覚で食べることができ、昔ながらの懐かしい味を楽しめます。

酒粕の味がダイレクトに分かる食べ方なので、純米酒や大吟醸酒など好みの酒粕で作ったり、数種類を食べ比べる楽しみ方もあります。

 

酒粕とドライフルーツでおしゃれな洋風おつまみ

ドライフルーツ

ここでは酒粕レーズンのレシピをご紹介します。


材料
酒粕              100g
水               大さじ2
レーズンもしくはドライフルーツ 40g

 

レーズンなどのドライフルーツと酒粕を合わせて、ちょっとおしゃれなおつまみも作れます。

水を加えた酒粕をレンジで加熱し、ペースト状になるまでよく練ります。

そこにレーズンを加え、冷蔵庫で2~3日寝かせれば完成。

クラッカーやバゲットなどに乗せて、パーティーメニューの一品としてもおすすめです。

さらに、クリームチーズと練り合わせればチーズケーキのようなクリーミーな味わいになり、バターを合わせれば風味豊かなレーズンバターになるなど、幅広くアレンジできます。

 

酒粕で作った「粕床」で自家製お漬物レシピ

酒粕から作った粕床のお漬物

酒粕は、お漬物作りにもよく用いられます。

酒粕で作った「粕床」に好きな野菜を漬けておけば、いつでも自宅で美味しいお漬物を食べられます。

また、粕床は何度か繰り返し使えるのも嬉しいポイントです。

定番のお漬物レシピをご紹介するので、ぜひ作ってみてください。

 

お漬物の定番「大根の粕漬け」

大根の粕漬け

材料
大根 お好みの量
酒粕 500g
砂糖 150g
塩  25g

 

酒粕を使って、簡単に美味しいお漬物が作れます。

定番は、大根のお漬物。

大根の皮を剥いて、大根の重量に対し約2%の塩で揉み、30分ほど置いたら水気をしっかりと拭きとります。

酒粕・砂糖・塩を手でしっかりと混ぜ合わせ、粕床を作りましょう。粕床づくりには、ペースト状の練粕がおすすめ。

水分を抜いた大根を一晩以上粕床に漬ければ、お漬物の完成です。

 

短時間ですぐ食べられる「きゅうりの粕漬け」

きゅうりの粕漬け

材料
きゅうり 2本
塩    適量
酒粕   25g
砂糖   大さじ1
みりん  大さじ1/2

 

きゅうりも、大根と並ぶお漬物の定番食材です。

きゅうりを薄く切り、塩で揉んでしばらく置きます。

しんなりしたら水気を切り、酒粕・砂糖・みりんを合わせたところにきゅうりをあえ、冷蔵庫で3時間程寝かせれば完成です。

手軽にできるので、忙しいときの「もう一品」として作ってみてはいかがでしょうか。

 

酒粕を活用して美味しく栄養を摂ろう

酒粕を使ったレシピをたくさんご紹介しましたが、作ってみたいものは見つかったでしょうか。

酒粕には栄養が豊富に含まれており、美容にも健康にも役立ちます。

アレンジ次第で色々な料理にも取り入れることができますので、ぜひお気に入りのレシピを探してみてください。

白鶴オンラインショップでは日本酒だけでなく酒粕や、酒粕を使用した食品も販売しています。

この機会にぜひ酒粕にチャレンジしてみませんか?

 

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