日本酒を飲むと悪酔いすると耳にすることがありますが、日本酒がとりわけ悪酔いする酒であるという事実はありません。
できれば避けたい悪酔いの原因や日本酒を飲む際の悪酔い回避術を解説します。
- 白鶴酒造オンライン編集部
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日本酒が悪酔いする酒という説は本当?そもそも悪酔いとは?
日本酒は悪酔いする酒ランキング上位のようなイメージがありますが、実際は日本酒だから悪酔いするというわけではありません。
とは言っても、悪酔いに悩まされたことがある人が多いのも事実でしょう。
まずは、そもそも悪酔いとはどんなものなのか、悪酔いの正体について見ていきます。
悪酔いとはどんな症状?なぜ起こる?
悪酔いとは、飲酒中や飲酒後比較的すぐに、お酒の影響で不快な症状が現れることをいいます。
頭痛、吐き気や嘔吐、動悸、顔色の変化、寒気や震え、精神的に不安定になるなど、症状は様々です。
原因は、アルコールを体内で分解する過程で生成されるアセトアルデヒドという物質が、人に不快な症状をもたらすためだと言われています。
アセトアルデヒドの分解に時間がかかると血中のアセトアルデヒド濃度が高くなり、それに比例して、悪酔いの症状も出やすくなります。
悪酔いと二日酔いの違いは?
悪酔いも二日酔いも飲酒が原因で不快な症状が出るという点では同じですが、症状が現れるタイミングが大きく違います。
悪酔いは飲酒から2〜6時間と比較的すぐに症状が出るのに対し、二日酔いは飲酒後8時間以上経ってから症状が出ます。
悪酔いは血中のアセトアルデヒド濃度が高まることで起こりますが、二日酔いは脱水、血糖値や体の酸性・アルカリ性バランスの変化、ホルモン分泌の変化など、様々な要因により起こると言われています。
現れる症状も、頭痛や吐き気、胃のむかつき、気分の落ち込み、倦怠感など、多岐にわたります。
日本酒・その他のお酒と悪酔いの関係性は?
では、日本酒が悪酔いする酒であるというイメージが根強いのはなぜなのでしょう。
ここからは、お酒と悪酔いの関係性を見ていきます。
悪酔いのしやすさはどのアルコール飲料も同じ
悪酔いは、アルコールの分解過程でアセトアルデヒドが血中に溜まっていけばいくほど症状が出やすくなります。
そして、アルコールの摂取量が多ければそれだけ生成されるアセトアルデヒドの量が多くなるというのは、どのアルコール飲料を飲んだときでも同じです。
つまり、アルコール度数の低いお酒でも、大量に飲めば大量にアルコールを摂取することになるため、結果的にアセトアルデヒドの分解に時間がかかり悪酔いしやすくなります。
逆に、アルコール度数の高いお酒でも、少量であれば、比較的早くアセトアルデヒドを分解しきることができるので悪酔いしづらいと言えます。
日本酒のようにアルコール度数の高いお酒が必ずしも悪酔いする酒ではないということです。
決め手はお酒の種類と飲む量
お酒は種類によってアルコール度数が異なります。
例えば、一般的なビールは5%程度、ワインは12%程度の度数です。その中で、日本酒は15%程度と度数が高く、これが、日本酒が悪酔いしやすい酒だと言われる一因でしょう。
ウイスキー、テキーラ、ウォッカ、ブランデーなどの蒸留酒には、40%を超えるようなものも多くありますが、これらのお酒は割って飲まれることが多いため、実際に飲まれる時には度数が低くなっていることがほとんどです。
お酒の種類や割り方によって度数は異なりますが、どの種類のお酒でも、悪酔いのしやすさがアルコール摂取量に比例するという条件は同じです。
つまり、種類や度数によって飲む量をコントロールすれば、どの種類のお酒でも悪酔いしづらくすることは可能です。
悪酔いする人としない人がいるのはなぜ?精神状態によっても変わる?
お酒を飲めばいつも悪酔いする人もいれば、たくさん飲んでもほとんど悪酔いしない人もいます。
また、悪酔いしやすい日と悪酔いせずに飲める日の差があると感じる人も多いでしょう。
この、悪酔いする人としない人、悪酔いしやすい日としづらい日では何が違うのか、悪酔いを起こす要因を解説します。
アルコールの代謝能力とアセトアルデヒド
アルコールを分解する代謝能力には個人差があります。
アルコールは体内に入ると、主にアルコール脱水素酵素の働きでアセトアルデヒドに分解され、そのアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素の働きにより無害な物質に分解されますが、これらの分解酵素の働きの強さによってアルコールの代謝能力に差が生じます。
中でもアルデヒド脱水素酵素の働きが強い人は、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドが溜まりづらく、悪酔いしづらい人だと言えます。
代謝能力の差は遺伝的な要因が大きく、アルコールやアセトアルデヒドを分解する酵素を持っている人と持っていない人では、生まれ持った体質として、アルコールの代謝能力に大きな差があります。
また、個人差はありますが、年齢や性別といった要因も関係しており、年齢の高い人より若い人、女性より男性の方がアルコールの代謝能力が高い傾向にあります。
ストレスによる代謝機能の低下
普段はあまり悪酔いしない人でも、精神的なストレスがかかっていると、アルコールの代謝機能が低下し、悪酔いしやすくなると言われています。
ストレスが溜まっているときに悪酔いした経験のある人が多いのはこのためです。
悪酔いしないための対処法は?鍵は飲み方にあった!
誰しも辛く不快な悪酔いはできる限り避けたいものです。
そうは言ってもお酒を楽しみたいという方のために、悪酔いせずに気持ちよく酔うための対処法をいくつかご紹介します。
「日本酒は悪酔いする」と思っている人は特に、これから説明する対処法に従って日本酒を飲んでみてはいかがでしょうか。
日本酒だからといって必ずしも悪酔いするわけではないということが感じられるでしょう。
お酒を飲むときは一緒に水を飲む
先述のとおり、お酒の種類やアルコール度数によって飲む量をコントロールすることで悪酔いしづらくなります。
そのために有効なのが、お酒と一緒に水を飲むことです。そうすることで満腹感が増し、飲む量をコントロールすることにつながります。
また、お酒と一緒に水を飲むことで、胃の中のアルコール濃度を下げることができると言われています。
特に日本酒は、度数が高い上に割らずに飲むことが多いお酒です。
お酒と水を交互に飲むことで、体内の水分に対するアルコールの割合を下げることになり、悪酔い対策になると考えられます。
さらに、水を飲むことでアルコールの分解に必要な水分も補うことができ、脱水症状の予防にもなるので、良いことばかりです。
お酒を飲むときはゆっくり飲む
血中のアルコール濃度が急激に上がると、アルコールの分解過程においてアセトアルデヒドが短い時間で大量に生成されるため、アセトアルデヒドの分解が追いつかず血中に溜まりやすくなります。
それを防ぐために、お酒はペースを守ってゆっくり飲むのがおすすめです。
日本酒はアルコール度数が高い割に口当たりが良いので、短時間のうちにアルコール摂取量が多くなりがちです。
悪酔いしやすいイメージが強いのには、ついつい早いペースで飲み過ぎる人が多いという理由もあるでしょう。
水を一緒に飲むことと合わせて、ゆっくり飲むことを意識すれば、悪酔いの危険性は大幅に減るでしょう。
お酒を飲む前にはなにか食べる
空腹でお酒を飲むと悪酔いするということをよく耳にします。
実際、胃の中が空っぽの状態の場合、お酒はあっという間に腸まで到達し、胃からだけでなく腸からも吸収されます。
そのため、空腹時はお酒の回りが早くなり、悪酔いの可能性も上がります。
お酒を飲む前には、なにか食べて空腹を避けることが悪酔いの防止につながります。
消化がゆっくりで長い間胃に留まる脂質、タンパク質、食物繊維などを含む食べ物が特におすすめです。
また、ナッツやフルーツなど、アルコールの分解を助けるビタミン類を含む食べ物も良いとされています。
悪酔いしない飲み方を心がけてお酒を楽しもう
いかがでしたか?
悪酔いしてしまった経験がある方は、そのときどのような飲み方をしていたでしょうか。
気をつけていても避けられないときはありますが、今回ご紹介したような飲み方をすれば悪酔いしてしまう確率を格段に下げることができます。
特に仕事や付き合いで飲酒する機会が多い方はぜひ意識してみてください。
白鶴オンラインショップではさまざまな日本酒を販売しています。日本酒は飲み方をしっかり守れば、長く美味しく楽しめるお酒です。
お気に入りの日本酒を探してみてください。