熱燗は電子レンジでもできる? 家で美味しい燗酒を楽しむ方法

熱燗などの燗酒には冷酒とは異なる魅力がたくさんあります。

美味しい熱燗が電子レンジや湯煎を使って手軽に楽しめれば、家でのリラックスタイムがより充実するに違いありません。

この記事では燗酒の魅力や家庭で美味しい燗酒を作るコツ、燗酒に向いている日本酒の特徴などをご紹介します。

 

白鶴酒造オンライン編集部

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熱燗は電子レンジや湯煎でできる?燗酒の魅力に迫る!

レンジで作った日本酒の熱燗を注ぐ

気温が下がってくると熱燗が恋しくなりますが、電子レンジや湯煎を使うことで家でも比較的簡単に美味しい燗酒が楽しめるのをご存じでしょうか。

燗酒というと冬のイメージがありますが、寒い季節にはもちろんのこと、冬以外にも日本酒を燗で飲むのは良いことがあります。

まずは「燗」とは何か解説した上で、燗酒の魅力をご紹介します。

 

燗とは?

レンジで作った日本酒の熱燗_徳利とお猪口

日本酒を冷やして飲む「冷酒」、常温で飲む「冷や(ひや)」に対して、温めて飲む日本酒を「燗酒」といいます。

日本酒を温めることを「燗にする」「燗をつける」と表現することもあります。

燗酒の中でも温度によって呼び方が異なり、耳なじみのある「熱燗」も燗酒のうちの一定の温度帯のものを指します。

日本酒は飲む温度によって味の感じ方が変わるため、温度の変化による味の違いを楽しむのも日本酒の楽しみ方の一つです。

 

日本酒を燗で飲むメリット

レンジで作った日本酒の熱燗で乾杯

日本酒は温めることによって香りが立ち、味わいも角がとれてまろやかになります。

ぬるめの燗にすると甘みを感じやすく優しい飲み口になるため、日本酒初心者にもおすすめです。

熱めに温めたときにはシャープで引き締まったクセのない味わいになるので、個性的な日本酒は高めの温度にすると飲みやすくなります。

また、燗酒は体を内側から温めてくれるので、寒い季節はもちろん、エアコンなどで身体が冷えたときに飲むのにもおすすめです。

体温に近い温度であるため身体への負担が少ないとも言われており、身も心もリラックスさせてくれるでしょう。

 

湯煎を使った熱燗の作り方

レンジで作った日本酒の熱燗を湯煎する

家で燗酒を楽しみたい場合、最も基本的な方法が湯煎で温める方法です。

湯煎をすることで温度の調整がしやすく、日本酒をお好みの温度に仕上げることができます。

また、熱が均一に回り、じっくりと温まるため、柔らかな口当たりの燗酒になります。

ここから、湯煎での日本酒の温め方を解説していきます。

 

作り方

レンジで作れる日本酒の熱燗_沸騰した鍋

湯煎で燗をつける場合、火のついた鍋で湯煎をすると温度調節が難しく一気に温度が上がりすぎてしまうことがあるため、火からおろした鍋につけるのがおすすめです。

手順は次のとおりです。

①徳利の八分目まで日本酒を入れます。
徳利がない場合は、耐熱ガラスでできたコップやカップでも代用可能です。
ふんわりとラップをかけると香りが飛ばず良い風味が残ります。

②鍋に徳利が肩までつかる量の水を入れます。

③徳利を一度出して、鍋を火にかけ沸騰させます。

④沸騰したら火を止めて徳利をつけ、好みの温度まで温めます。
湯煎の途中で徳利を出してゆっくりと振り、日本酒の温度を均一にしてから再び鍋に戻すのが上手く温めるコツです。

この手順で温めれば、初めてでも失敗することなく燗をつけることができるでしょう。

 

湯煎で燗をつける際の注意点

湯煎で日本酒を温める際、もともと日本酒が入っていた瓶やカップ、パックなどのまま湯煎をすると、容器の破損などにつながり大変危険なので、必ず耐熱容器に移し替えてから湯煎をするようにしてください。

また、容器が予想以上に熱くなることがあるため、火傷に十分注意してください。

 

湯煎でぬる燗や熱燗ができる時間の目安

レンジで作った日本酒の熱燗_砂時計で時間を測る

湯煎で日本酒を温めるときには、湯煎をする時間の長さによって日本酒の温度を調整することができ、熱燗やぬる燗などお好みの温度にすることができます。

容器の大きさや素材によって時間は異なりますが、一般的な容量の陶器の徳利の場合、沸騰した直後のお湯につけて2分半程度がぬる燗の目安です。

熱燗はそれより少し長めの3分前後を目安にすると良いでしょう。

長時間湯煎にかけるとアルコールが飛んでしまうので、低い温度で長時間湯煎をするのではなく、沸騰したお湯につけて短時間で温めるのが美味しさの秘訣です。

 

電子レンジでの熱燗の作り方

日本酒の熱燗をレンジで作る

もっと手軽に家で日本酒を温めたい人は、電子レンジでも熱燗などの燗酒を作ることが可能です。

多くの人にとって身近な電子レンジですが、安全に美味しく燗をつけるにはコツがあります。

ここからは、電子レンジで日本酒を温める方法やその際の注意点について解説します。

 

作り方

電子レンジで燗をつけるときには、レンジ対応の徳利などの容器に日本酒を入れ、ふんわりとラップをかけて加熱します。

コップを使う場合にも、レンジ対応ガラスであることを必ず確認してから温めるようにしてください。

オート機能は使わずに、こまめに出して様子を確認するのが温めるうえでのポイントです。

電子レンジは風味や香りがとびやすいので、飲むときに元の日本酒を少し足すことで風味を戻すことができます。

 

電子レンジで燗をつける際の注意点

レンジで作る日本酒の熱燗の注意喚起_注意点

電子レンジで安全に美味しく燗をつけるためには、いくつか気をつけるべき点があります。

まず、電子レンジは湯煎よりムラができやすいため、数十秒ごとにレンジから出し、マドラーで混ぜるなどして中の温度を均一にする必要があります。

一気に加熱したり高温にしすぎたりすると、突沸という爆発のような現象が起こる恐れがあるので注意が必要です。

味の面でも、あまり温めすぎると風味が落ち、ピリピリとしたトゲのある飲み口になるため、日本酒の美味しさが損なわれてしまいます。

また、レンジから出すときには、容器の細い首のあたりが想像以上に熱くなっていることがあるため、火傷にも注意してください。

  

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燗酒は温度によって特徴や呼び方が異なる?

レンジで作った日本酒の熱燗の徳利

温めた日本酒を広く指して燗酒といいますが、燗酒は温度によってそれぞれ違った呼び方があり、味の感じ方も異なります。

燗酒の温度による呼び方の種類と、それぞれの温度の目安や特徴をご紹介します。

 

日向燗(ひなたかん)

レンジで作った日本酒の熱燗の日向燗

30℃前後の日向燗は体温より少し低い温度なので、温かくも冷たくも感じません。

常温よりは少し温かい、燗酒の中では最も低めの温度です。

柔らかく優しい口当たりで口にスッとなじみます。

香りもほんのりと穏やかに広がります。

 

人肌燗(ひとはだかん)

レンジで作った日本酒の熱燗の人肌燗

35℃前後の、人の体温と同じくらいの温度の日本酒は人肌燗といいます。

この温度帯では、徳利やお猪口を手で持ったときにはほんのりと温かみを感じますが、口に含むとぬるく感じるでしょう。

35℃前後は日本酒の香りに膨らみが出てくる温度で、人肌燗は米由来の旨みや甘みをたっぷり感じられます。

 

ぬる燗

ぬる燗は40℃前後の日本酒を指します。体温より少し温かいくらいの温度です。

40℃前後の温度帯では日本酒の香りが開き、まろやかさや旨みが引き立ちます。

丸みのある甘みやふくよかな香りを楽しめるのがぬる燗の魅力です。

 

上燗(じょうかん)

45℃前後に温めた日本酒を上燗といいます。

徳利やお猪口を持ったときに少し熱く感じるくらいの温度です。

この温度帯の日本酒は、香りが引き締まり、味の柔らかさと後味のキレの両方を楽しむことができます。

燗酒の中で、多くの人が特に美味しいと感じる温度帯が上燗だといわれています。

 

熱燗

レンジで作った日本酒の熱燗を注ぐ

耳にすることの多い熱燗とは、50℃前後の温度帯の日本酒を指します。

50℃は徳利から湯気がたち、お猪口を手で持つと熱く感じられるような温度です。

熱燗は香り高くシャープな飲み口が特徴で、寒い日に特におすすめです。

 

飛び切り燗

レンジで作った日本酒の熱燗の飛び切り燗

日本酒を飲む温度帯の中で最も熱いものを飛び切り燗といいます。

口に入れて熱いと感じるくらいの高温にすることで、ピリッと引き締まったキレのある味わいになります。

55℃を超えるようなものが飛び切り燗と呼ばれますが、その温度を超えて温めすぎると味や香りのバランスが崩れる原因になるので要注意です。

 

燗で飲むと美味しい日本酒

レンジで作った日本酒の熱燗をお猪口に注ぐ

日本酒は、発泡性など一部の種類を除いたほとんどの種類で燗を楽しむことができます。

しかし、中でも特に温めて飲むと美味しい燗酒に適したものがあります。

ここからは、温めることでお酒の良さが引き立つ燗酒向きの日本酒の種類や特徴を解説します。

 

純米酒・本醸造酒

レンジで作った日本酒の熱燗と米

純米酒や本醸造酒は温めることで旨みが際立つお酒です。

米の旨みが強い純米酒は、軽く温めることで米由来のふくよかな旨みや香りの華やかさをより強く感じられるようになります。

温めすぎないぬる燗から上燗にかけての温度がおすすめです。

本醸造酒は熱燗の温度帯がよく合います。

熱めに温めることでキレのある味わいが強調され、すっきりとした飲み口になります。

吟醸酒や大吟醸酒は華やかな吟醸香があり冷酒に向いているイメージですが、純米吟醸酒や純米大吟醸酒の中には香りが控えめで「味吟醸」といわれるものもあり、そういった日本酒は冷酒以外にぬる燗でも美味しく飲むことができます。

 

濃醇タイプ・熟成タイプの日本酒

レンジで作った日本酒の熱燗とおつまみ

しっかりとした力強さのある味の日本酒は、温めると風味やキレが増すので燗に向いているといわれます。

酸度やアミノ酸度の高い濃醇タイプの日本酒は「燗上がり」すると言われており、燗酒で飲んだときにどっしりとした味わいを存分に発揮してくれるので、日本酒を目いっぱい楽しんで満足感を味わいたい人は燗酒で飲んでみることをおすすめします。

また、熟成された日本酒も燗が合います。

熟成タイプのお酒の個性を打ち消すことなく楽しませてくれるだけでなく、飲みやすさも増します。

温めることで角がとれた丸みのある味わいになるので、常温ではクセが強いと感じるような日本酒でも、燗酒にするとそのクセがまろやかになって美味しく感じられることがよくあります。

熱すぎてもバランスが崩れるため、ぬる燗などの温度帯がおすすめです。

反対に生酒のような繊細さやフレッシュさを楽しむようなお酒は冷酒の方が向いていると言われています。


日本酒を燗酒にする際は、燗酒に合う特徴の日本酒を選び、適した温度帯にすることで、燗酒の良さを最大限に楽しむことができるでしょう。

 

電子レンジや湯煎を使って家でも熱燗を楽しもう!

いかがでしたか。

燗酒の魅力を感じていただけたでしょうか。

電子レンジや湯煎を用いることで家でも手軽に燗酒を楽しむことができます。

日本酒は温度によって異なる表情を見せてくれるお酒なので、様々な温度で飲んでみることで日本酒の新たな魅力を発見できることでしょう。

白鶴オンラインショップでは、特徴別に日本酒を探すことも可能です。

この記事でご紹介したような燗酒向きの日本酒を厳選したページもご用意しておりますのでチェックしてみてください。

 

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